大型音楽フェス『Puregold OPM Con 2025』を現地で見て驚いた。「小売×音楽」の距離感が、日本とまるで違う。
大型音楽フェス『Puregold OPM Con 2025』を現地で見て驚いた。「小売×音楽」の距離感が、日本とまるで違う

■『Puregold OPM Con 2025』という大手スーパー主催の大型音楽フェス
2025年7月5日、フィリピン最大級の会場 Philippine Arena で、スーパー大手 Puregold 主催の大型音楽イベント 「Puregold OPM Con 2025」 が開催されました。約5万人が詰めかけた会場の熱気は、まさに“国民的お祭り”。ラインナップもサプライズも含めて、OPM(フィリピン音楽)の勢いをそのまま体感できる一日でした。
そして、今回はただ会場に行っただけではなく、当日朝から現場に同行して、仕込み(搬入・設営・転換の流れ)まで見学させてもらいました。ステージが立ち上がっていく過程を間近で見てから本番に入ったので、観客としてだけでなく制作目線でも「これはすごい」と感じた部分が多かったです。
いちばん驚いたのは、そこまで含めて体験した上で見えてきた「企業主催のイベントとしての作り込み」が、良い意味で振り切れていること。日本だと、ここまで企業プロモに寄せた音楽イベントって、かなり珍しいと思います。(あるのかどうかも知りません。)

■まずPuregoldって何?(ざっくり言うと、超大手スーパー)
Puregoldはフィリピン全国に店舗網を持つ小売企業で、今回のイベントは「Puregoldの顧客=買い物客」と「音楽ファン」を一本の線でつなぐ、かなり明確な設計でした。コンサートが企業施策のど真ん中に置かれているのが分かります。10年前はちょっと郊外にいあるただのスーパーっていうイメージでした。

■チケットが“買い物”で手に入る。ここが日本と別世界
今回のチケットは、店舗で買い物して条件を満たすと入手できる仕組みが大きな特徴。購入レシート金額に応じて席種が変わるなど、“小売ならでは”の導線になっていました。これ、体感としては「チケット販売」よりも「購買体験の延長」なんですよね。
イベントを“音楽の祭典”にしつつ、企業のマーケ施策として成立させているのがとても上手い。
会員カードを持っている人向け:買い物でもらえるチケットの仕組み
条件はシンプルで、レシート1枚(1回の会計)で、狙う席の金額以上を買うだけ。
・VIP(サウンドチェック見学付き):PHP 7,500(約19,900円)
・パトロン(プレミアム席):PHP 6,000(約15,900円)
・パトロン(通常席):PHP 5,000(約13,300円)
・ローワーボックス(プレミアム):PHP 4,500(約11,900円)
・ローワーボックス(通常):PHP 3,500(約9,300円)
・アッパーボックス:PHP 2,500(約6,600円)
・一般席:PHP 1,500(約4,000円)
■ラインナップが強い(サプライズも含めて)
出演陣には SB19 / BINI / KAIA / G22 / Flow G / Skusta Clee / SunKissed Lola など、今のフィリピンを代表する名前が揃い、さらにサプライズゲストも投入されました。
たとえば、
- BINI のステージで James Reid が参加
- KAIA×Mayonnaise、G22×Yeng Constantino などの“意外な組み合わせ”
- SB19 のステージに Rico Blanco が登場
…という感じで、単に“豪華”というより、フィリピン音楽の地図をそのままステージ上に出すような作りでした。

■なぜここまで企業色が強くても成立するのか(現場で聞いた話)
今回、現場に同行させてもらったとき、ヘッドディレクターの方が印象的なことを教えてくれました。フィリピンは年齢中央値が25歳前後と若い層が多い国で、若者向けの“イメージ戦略”がまだまだ直球で刺さる。だからこそ、企業が前面に出た演出やブランド体験の設計が、「広告っぽいから冷める」ではなく、むしろイベントの一体感として機能しやすいという話でした。
なるほど、と思いました。
客層や国の年齢構成、そして“若い国としての空気感”が、イベントの成立条件そのものに影響している。ここが、日本との大きな前提の差かもしれません。
■現地で感じた最大の違和感(=日本ではあまり見ない光景)
ここから所感です。
演出の合間に、洗練された企業PVが普通に流れる。しかもそれが邪魔じゃない。むしろ「このイベントはPuregoldのものだ」と全員が理解していて、空気が一貫している。さらに、PuregoldのCM曲を超人気アーティストが披露するような、“企業とアーティストの絡み方”が自然に成立している。日本だと、「企業プロモ×音楽イベント」をここまで前面に出すと、賛否が割れやすいと思います。
でもフィリピンでは、それが“お祭りの一部”として成立している。この距離感は、ビジネスとして見ても、文化として見ても、かなり学びが多いなと感じました。(良くも悪くも、日本ほど色んな所に気を遣わなくて良い。)
■日本のエンタメ側にとって何がヒントになる?
帰ったヒントは大きく3つです。
- 企業が主役でも、音楽の熱量が落ちない設計がある
→ 企業色を消すのではなく、最初から“そういう祭り”として設計する。 - 購買導線とイベント導線を一本化できる
→ 小売の強み(店舗・購買・会員)をそのまま動員力に変換している。 - ブランドとアーティストが「一緒に成長する」空気がある
→ “広告っぽさ”が、イメージ毀損ではなく“体験価値”になっている。
■まとめ
Puregold OPM Con 2025は、ただの大型コンサートではなく、小売が本気で音楽を使って「国民的体験」を作った事例だと思いました。日本で同じやり方はできなくても、「企業が音楽にどう関わると、ちゃんと文化として成立するのか」その答えのヒントが、この現場にはたくさんありました。
